[36] Double enveloping worm gear design system
36.1 概要 このウォームギヤは,ヒンドレーウォームギヤと呼ばれ鼓形ウォームギヤとして最も古い歴史を持ちます.ウォームホイールの中央断面とウォームは共に同じ歯形を持ち一般の円筒ウォームギヤに比して,かみ合い接触線が長くなることから歯面強さに対して有利です.本ソフトウェアは,歯車寸法,歯形計算,強度計算をすることができ,歯形はCADデータとして出力することができます.
36.2 基準ラック 36.3 歯車諸元設定 図36.3に歯車諸元の入力画面を示します.
|
入力する数値は,円筒ウォームギヤと同様です. (1) 最大サーキュラーピッチは1000mm (2) ウォームの条数は1~10 (3) 歯厚は,円弧歯厚を入力することができます.
図36.4にDouble enveloping worm gearの寸法を示します.
36.4 歯形 図36.3に示すDouble enveloping worm gearの歯形を計算する際,図36.5のように歯形の分割数を設定し,この分割数に従って歯形を計算します.歯形レンダリングを図36.6および図36.7に示します.図中に歯のかみ合い接触線を確認することができます. |
117
36.5 CAD 作図例 生成した歯形をCADデータに出力することができます.ウォームとホイールのCAD作図例(IGES)を図36.8に示します. 36.6 強度計算 Double enveloping worm gearの強度計算は,AGMA6035-A02に基づいて計算します.強度計算画面を図36.9に示します.
36.7 円筒ウォームギヤとの比較 円筒ウォームギヤの接触線は,図36.10に示すようにホイールの歯幅方向に伸びています.しかし,Double enveloping worm gearの接触線は,図36.7に示すようにホイールの歯たけ方向に伸びています.更に,円筒ウォームギヤのかみ合い歯数は,2歯の接触ですが,Double enveloping worm gear は,4歯が接触しています. このことから,Double enveloping worm gear の歯の負荷容量は,円筒歯車より大きいと言えます. |
ウォームギヤは大きな滑りを伴うため歯面間の潤滑油膜の形成が重要です.円筒ウォームギヤは,図36.10の接触線からも解るように接触線とすべり方向が0°に近いところもありますが,Double enveloping worm gear の接触線は歯面の滑り方向に対して,ほぼ直角です.そのため,潤滑油膜の保持に非常に有利です. Double enveloping worm gearは,ウォームの歯幅を図36.11のように小さくしても3歯がかみ合いますのでコンパクトな設計が可能です.しかし,Double enveloping worm gearの形状は複雑であるため加工が容易ではありません.本来,Double enveloping worm gear は,専用機で加工されていますが,本ソフトウェアから生成するCADデータを用いてマシニングセンタで容易に加工することができます.
|